この記事では、経営者にコーチングが必要な理由ついてご紹介しています。米国では7〜8割の経営者にコーチがついていると言われており、その理由もお伝えしています。
- なぜ経営者にコーチングが求められるようになったかを知りたい
- 米国の80%の経営者がコーチングを求めている理由を知りたい
- 日本の中小企業の経営者にコーチングが必要か知りたい
目次
経営者にコーチングが必要とされる理由
コーチングは、経営者が直面する複雑な課題に対処するための強力なツールとして注目されています。
理由1:現代のビジネス環境と経営者の課題
現代のビジネス環境は急速に変化しており、経営者は新たな課題に直面しています。グローバル化やデジタル化、労働市場の変動など、これまでの手法だけでは対応できない状況が増えています。こうした状況下で、コーチングは経営者にとって重要な支援手段となります。コーチングは、経営者の視点を広げ、新たなアイデアや戦略を引き出す助けをし、経営の質を向上させる効果があります。
理由2:コーチングの歴史と普及の経緯
コーチングがビジネスの現場に導入され始めたのは、1970年代から1980年代にかけてのアメリカが最初とされています。
当時、スポーツ分野で成果を上げるための技術として発展していたコーチング手法が、ビジネスにも応用できると注目されました。その後、1980年代から1990年代にかけて、特に米国のビジネスリーダーやエグゼクティブ層に対してコーチングが広まり始めました。
リーダーシップの強化やパフォーマンス向上が期待され、外部からの客観的なフィードバックを取り入れることの重要性が認識されるようになりました。
コーチングが日本に入ってきたのは、1990年代後半から2000年代初頭にかけてといわれています。最初は外資系企業を中心に普及しました。その後、日本企業もリーダーシップ開発やマネジメント層の育成にコーチングを取り入れ始め、企業の業績向上や従業員のエンゲージメント向上に役立てられています。
特に近年では、コーチングは人材開発の重要な手段として、経営層やマネージャーの育成に欠かせないものとなっています。
コーチングが普及した背景には、多くの成功事例があります。シリコンバレーのテクノロジー企業やスタートアップでは、経営者にコーチングが導入されており、その結果として急速な成長を遂げた企業も多く見られます。これにより、コーチングが経営者の成長と企業の成功を促進する手段として広く認知されるようになりました。
米国のCEOの80%がコーチングを必要としている
最近の調査によると、米国のビジネス界において、コーチングは経営者の成長と企業の成功に不可欠な要素と認識されるようになっています。
優秀なCEOは自分に盲点があることを知っている?!
スタンフォード大学経営大学院のリーダーシップ開発研究センター、スタンフォード大学のロック企業統治センター、マイルズグループが、北米の200人以上のCEO、取締役、および上級幹部を対象に調査を行いました。この調査は、CEOやその上級幹部がどのようなリーダーシップアドバイスを求めているかを明らかにするために実施されました。
その結果、実際にコーチングやコンサルティングなど外部からのフィードバックを受けているのは34%にとどまっていますが、調査対象者の約80%の人々がコーチングを受けたい、と答えていることがわかりました。
この理由について、同記事では、“Lonely at the top(孤独なトップ)” と表現しており、多くのCEOにとって孤独であるというのは真実であるように思えます。
また、コーチングを受けているCEOに対し「コーチングを受ける決定をしたのは誰ですか?」という質問に対し、78%のCEOが自ら決めたと答えていることからも、CEO自身がコーチングを受けたいと考えていることがわかります。
マイルズグループのCEOであるスティーブン・マイルズ氏は「CEOが取締役会から独立して最高の助言を得ることが、企業の健康維持にとってどれほど重要かを考えると、これほど多くのCEOが独りで行動しているのは懸念される。最優秀のCEOでさえも盲点を持っており、外部の視点を取り入れることでそのパフォーマンスを大幅に向上させることができます」と述べています。(出典:Stanford Executive Coaching Study Reveals Most CEOs Want Coaching!)
CEOの立場場、利害関係の調整や、人材の育成、リーダーシップの発揮など、CEOや管理職ならではの能力が求められるようになるため、定期的に立ち止まり振り返る時間を持つことや、客観的なフィードバックや意見をくれる相手を持つ、ということが重要と考えているCEOが多いようです。
偉大なCEOジャック・ウェルチのコーチの選び方
1981年から2001年までゼネラル・エレクトリック(GE)のCEOを務めたジャック・ウェルチ氏は元々自分自身の判断に自信があったため、コーチやコンサルティングを雇うようなことはしていませんでした。彼がハーバード・ビジネス・スクールの教授リチャード・バンシルのクラスを訪れた時、クラス内で彼に厳しい議論を挑んだ女性学生がいました。当時、フォーチュン500の企業で女性CEOが2人しかいなかったことを考えると、CEOに議論を挑むというのはすごいことです。
その後、ウェルチ氏はその女性を採用することに決めたそうです。(出典:How Would Jack Welch’s Leadership Style Fare in Today’s World?)
一説には、ウェルチ氏はその女性をコーチとして採用したと言われています。当時20代だった女性をコーチとして採用した理由として、全く異なる価値観や視点を持っていることが理由として挙がっています。
前述したスティーブン・マイルズ氏の「最優秀のCEOでさえも盲点を持っている」という言葉の通り、いかに優れた人物でも必ず盲点があります。それを補い、気付きをもたらすためにコーチを活用されている方が多いように思います。
経営者向けコーチングがもたらす効果
コーチングを受けた経営者は、より高い業績を上げる傾向があります。また、コーチングはリーダーシップのスタイルを改善し、従業員とのコミュニケーションを円滑にする効果もあります。実際にシリコンバレーのスタートアップ企業では、コーチングが重要な役割を果たしており、その結果、多くの企業が成長を遂げていることも発表されています。
経営者がコーチングを受けることで得られる具体的な利点は多岐にわたりますが、具体的には以下のような利点があります。
- パフォーマンス向上:コーチは経営者の強みを引き出し、改善点を明確にすることで、全体的な業績を向上させます
- 意思決定力の強化:コーチングを通じて、経営者はより迅速かつ的確な判断を下す能力を養うことができます。
- ストレス管理:コーチは経営者の悩みを解決に導くサポートをするため、ストレスを軽減することができます。
日本におけるコーチングの現状と展望
コーチングは、1990年代後半に日本に導入され、ビジネスの分野で徐々に浸透してきました。
日本の経営者におけるコーチングの普及状況
日本においても、経営者向けコーチングは徐々に普及してきています。従来のトップダウン型の経営手法から脱却し、よりオープンで柔軟なリーダーシップスタイルが求められている現代において、コーチングは有効な手段となっています。人材マネジメントでコーチング研修を導入される企業も増えてきました。
日本企業がコーチングを取り入れるメリット
日本では、米国ほどの普及率には達していないものの、その重要性は認識されています。
コーチングを導入することで、企業文化の改革や人材育成の加速が期待できます。中小企業では特に経営者が組織に与える影響が大きいため、経営者自身が成長することが組織全体の成長につながります。
日本の中小企業の経営者におけるコーチングの重要性
中小企業庁のデータによれば、日本における企業の99.7%が中小企業です。
経営者は限られたリソースの中で経営のあらゆる面に対処する必要があり、その重圧は計り知れません。こうした環境下で、経営者がコーチングを受けることが重要となる理由は以下の通りです。
多面的な役割を持つ経営者への支援
中小企業の経営者は、単に企業を運営するだけでなく、財務、マーケティング、人材管理など、多くの分野に精通しなければなりません。コーチングでは、「答えはクライアントが持っている」と考えているため、あらゆる分野の悩みに対して悩みを解決に導くようサポートできます。
「答えはクライアントが持っている」はコーチングの基本概念ですが、クライアントが対応策を探している場合もあります。そんな時、コンサルタントの集まりでもある私たちNUDGE consultingでは、具体的な提案やアドバイスの実施も可能です。必ずしもクライアントに委ねず、選択肢を複数提案することにより効果的に解決に近づく意思決定のサポートが可能になると考えています
迅速な市場変化への適応
日本の中小企業は、大企業に比べて資源が限られているため、外部の変化に柔軟に対応しなければなりません。コーチングは、経営者が新しいビジネスチャンスや脅威に対して迅速に対応できるようにする手助けをします。
市場の変化や技術革新に伴うリスクを最小限に抑え、成長の可能性を最大化するためにも、経営者が定期的に外部の視点を取り入れることが重要です。
私が支援させていただいた企業様でも、昔は放っておいても売上が拡大していたが、環境の変化に合わせて事業内容を変化せざるを得なくなった、という案件はとても多いです。
コミュニケーションの改善や人材育成
中小企業においては、経営者と従業員との距離が近いため、リーダーシップスタイルやコミュニケーションの質が、企業全体の雰囲気に大きく影響を与えます。
NUDGE consultingでは、経営者の方にコーチングを受けてもらって終わり、にならないよう、「クライアント自らがコーチングを使えるようになること」を大事にしています。コーチングを実施できるようになると、周りとのコミュニケーション能力が上がるだけでなく、目標設定〜達成までを自分で設計できるようになりセルフコーチング力も磨かれます。
経営者のコミュニケーション力が上がることで、心理的安全性を確保し、従業員が安心して意見を述べられる環境を整えることができ、企業全体のパフォーマンス向上が期待できます。
日本市場特有の課題に対処
今後、日本はますます多くの課題に直面していくと考えられます。少子高齢化による労働力不足や、家業継承の難しさなど、他国とは異なる経営課題があります。これらの課題は、明確な正解がないものばかりです。
元々コーチングは、迷っている時に決断を促すためや、正解がないものに対して正解に近い道を見つけるためのツールとしても有効であるため、これから多くの中小企業が直面するであろう課題に対しても、一緒に考え、正解に近い答えを見つけていくことができます。
経営者が長期的な視点で事業を成功させるための戦略を一緒に考えることができる、それがコーチングです。
まとめ
経営者にコーチングが必要な理由は、ビジネス環境の急激な変化や、経営者特有の孤独感に対応するためです。米国では多くのCEOがコーチングを求めており、コーチのフィードバックにより、視野の拡大やパフォーマンスの向上が期待できます。
日本でも1990年代以降、外資系企業を中心にコーチングが浸透し始め、現在では経営者層にとって重要なツールとなりつつあります。中小企業においても、経営者がコーチングを受けることで意思決定力やコミュニケーション力が向上し、組織全体の成長に寄与することが期待されています。
まだコーチングを受けたことがない、という方はぜひ一度、無料相談をご予約ください。