コーチングは、自身の考えや行動を見直し、目標達成をサポートするための手法です。
この記事では、「図解を用いたコーチング」について、そのメリットやデメリット、さらには得られる効果について詳しく解説します。
- 図解を用いたコーチングセッションがどんな感じなのか知りたい
- 図解を用いたコーチングのメリット・デメリットを知りたい
- 図解を用いたコーチングの効果を知りたい
NUDGE consultingでは、基本的に全てのセッションを図解を用いて行っています。
目次
図解を用いたコーチングとは?
図解を用いたコーチングとは、コーチングセッションの際にクライアントが話した内容の大事な部分を抜き出し、図やフローチャートの形で整理するものです。これにより、クライアントの思考や言葉を可視化し、セッション後にはその図解をPDF形式で提供します。
この方法を通じて、クライアントがセッションの内容を振り返りやすくなり、学びや気づきを深めることができるようになります。
図解コーチングの種類
一言で「図解コーチング」と言っても、図解をどのソフトで作るかは人によって異なります。
私はIllustratorを使用しています。Illustratorを使用した図解はこんな感じになります。
話の展開ごとに新しいページを増やしたり、簡単に図を用いたり、思考に合わせて文章をカテゴライズしたり、自由に行き来できるところがメリットです。
Miroというサービスを使用しているコーチもいます。
Googleスライドを使用している図解コーチもいます。
アウトプットは異なりますが、図解を用いたコーチングのメリット・デメリット、効果はどれを使用していてもそれほど変わりません。
この記事では、これまでのセッションで弊社で作成した図解をサンプルに用いながら図解コーチングについてご紹介していきます。
図解を用いたコーチングのメリット
図解を用いたコーチングのメリットについてご紹介します。
1.話をしたいことについて迷子にならずに進める
クライアントが話した内容の重要な箇所をテキストに起こしていくことでクライアント自身は、自分が発した言葉を客観的に見る機会が得られます。人の思考は決して目標に向かって猪突猛進に進められるわけではなく、本当に様々な方向に行ったり来たり、とっ散らかっていきます。
私自身がクライアントとしてセッションを受けている時に、話の展開がおかしな方に飛んで「あれ?これって本当に過ごしたかったことだっけ?せっかくのコーチとの時間をムダにしてない?」と思ったこともあります。
図解として書き起こしたものがあれば、必ず「本当に話をしたかったこと」に戻ってくることができます。本当に大切なことに意識を向け、進んでいくために使いは有効です。
2.視覚化は、自己理解を促進&可能性を広げる
図解を用いることで、クライアントが自分の考えや話したことを視覚的に捉えることができます。これは特に、頭の中で考えが混乱しやすい人や、問題を論理的に整理するのが苦手な人にとって大きな助けとなっています。
多くのクライアントさんが「スッキリした」「改めて何が大切かに気づけた」という感想を持つのも、図解の効果です。
言葉だけでは曖昧だった部分が図解によって構造的に整理され、問題点や課題が明確化されることにより、クライアントは自分の内面を深く見つめ、次のアクションを決定するための指針を得ることができます。
たとえば問題の原因と結果、対策をフローチャートで示したり、複数の選択肢をマインドマップ形式で整理したりすることで、クライアントはより簡単に自分の思考の全体像を理解できます。
スケジュールやアクションプランを考える時には、ガントチャートのような形で俯瞰しながら見ることができるのもオススメポイントです。
セッション内で目標を明確にするために、バランスホイールを用いて一緒に理想の状況を考えることがあるのですが、これも記録に残るのでセッション後にも自分で何度も見返せるので喜んでもらえています。
3.心理的に共存関係を作りやすい
コーチングはもともとはリアル(対面)で行われることが多かったのですが、最近ではオンラインで行われることが一般的となりました。コーチングに限らず、オンラインで1対1で向き合っていると画面いっぱいにクライアントである自分とコーチの顔がいっぱいに広がり、目線をどこに置くのが正解か迷ったことはありませんか?
私はあります!心理学的に、視線がぶつかり合うのは両思いか、敵対している気持ちになるそうです。
一方、図解を用いて画面に資料を用意することで、お互いに同じ方向に向かって話ができるようになります。自分が写っている画面サイズも小さくなるので、相手からどう見られているかも気にしなくてよくなりますよね。
視線を刺し合う仲ではなく、視線が同じ向きに向くと共存の関係になりやすいんです。
そのため、図解を用いた方が心理的に良い結果を導きやすいのです。
個人的にはこの効果はとても気に入っています。
4.セッション後の振り返りやモチベーションUPが容易
図解として作成した内容は、セッション終了後にPDFでお送りするため、セッション終了後もクライアントが好きなタイミングで簡単に振り返ることができます。
時間が経ってから見直してもらえば、新たな気づきや学びが得られますし、その時のやりとりを思い出して、モチベーション向上につなげてもらうことができます。
図解を用いたコーチングのデメリット
続いて、図解を用いたコーチングのデメリットです。
1.図解作成に時間がかかる可能性
図解を作成するには、コーチ側がクライアントの話を聞き、重要な情報をピックアップして文字に起こし、整理するスキルが必要です。そのため、セッション中に図解を行うと、通常のセッションに比べて時間がかかる場合があります。
文字をうつのに時間がかかることがある、というのは事実ですが「そのせいでセッションに支障があった」という意見は一度もなく、むしろ図解を用いたコーチングがいいと言われることばかりです。
コーチングセッションで文字起こしに時間がかかってもクレームにつながらない大きな理由の1つとして、コーチングでは「クライアントが考える時間」「クライアントが自分が言った内容を反芻する時間」などが発生するからです。クライアントは決して話し続けているわけではなく、むしろ自分を深ぼっているときほど沈黙になるものです。
コーチはその時間を使って文字起こしをしているので、「図解作成にかかる時間がもったいない」といったクレームは発生しないのです。
2.視覚的表現が苦手な場合
すべてのクライアントが視覚的に情報を処理するのが得意とは限りません。言葉での説明を好む人や、視覚情報が多すぎると混乱してしまう人もいます。図解を用いる際は、クライアントの特性を把握し、適切な情報量と表現方法を選ぶことを意識する必要があります。
人によって、視覚・聴覚・感覚の3つのうち、どの機能が優れているかが異なります(VAK理論といいます)。ただ、日本人の場合、5〜6割の方が視覚優位と言われているので、多くの方に気に入ってもらえているのも、このためかと思います。
図解を用いたコーチングの効果
図解を用いたコーチングの効果は様々ですが、主な3つをご紹介します。
1.目標設定や問題解決のスピードアップ
図解は、クライアントが目標や課題を明確にするのを助けます。図として視覚的に捉えることで、ゴールに向かうための具体的なアクションプランが立てやすくなります。視覚的な情報は脳に直接働きかけるため、クライアントが目標を明確に持ち、次に取るべき行動をイメージしやすくなります。
2.セッション後も一人で行動目標の振り返りが可能
コーチングでは、毎回のセッションで、次回のコーチングセッションに向けて具体的な行動目標を決めるのですが、メモがないと忘れます!
私は手帳にメモしていた時期もあるのですが、自分でやろうと思っていた行動目標なども書いてあるので多すぎて、どれがコーチとした約束なのかわからなくなることもありました……。
自分で立てている目標もあるかと思いますが、コーチとの行動目標は絶対に達成して「できました!」と報告したいので、別扱いで把握しておきたいのです。そんな時に、図解があればPDFで確認できるので便利でした。
3.成長の実感や自己効力感を持ちやすい
セッションごとに図解が残ることで、クライアントは自分の成長や進捗を客観的に確認できます。たとえば3ヶ月前の図解と現在の図解を比較することで、どれだけ目標に近づいているかや、自身の成長度合いを視覚的に捉えることができます。これにより、クライアントは成長の実感を持ちやすくなり、自己効力感が高まります。
毎回の振り返りももちろん効果的なのですが、半年や1年経った時に「そういえば、あの頃、こんなこと言ってましたよね?」と振り返るのにも使えます。半年や1年での振り返りであれば、行動レベルではなく、人としての成長も見られるので面白いです。
図解を用いたコーチングが適している人
図解を用いたコーチングは、以下のような人に特に適しています。
- 思考があっちこっちに飛んでしまう人
話をするのが好きな方や、思考が早くて気づけば違うことを考えている方など、思考が飛びやすい方には、「本当に大切なこと」に絞って話をしてもらえます。 - 自己認識を深めたい方
自分の考えや感情を可視化することで、自己理解が深まり、自己成長のきっかけとなります。 - 視覚的に情報を捉えるのが得意な方
視覚的な情報処理が得意な方は、図解を通じてより深い理解を得てもらえます。 - セッション以外の時にもモチベーションを高めたい方
セッション終了後もPDFとして図解を振り返ることで、コーチとのやりとりを思い出すことにより、約束した行動目標を実行しようという気持ちがわいてきて、モチベーションUPにつながります。
図解を用いたコーチング:まとめ
図解を用いたコーチングは、クライアントの思考を可視化し、自己理解を深め、問題解決や目標達成をサポートする強力な手法です。
セッションの時間以外でもクライアントさんの成長につながることができたらと思い、こういった工夫を取り入れています。図解コーチングを受けたことがない、という方はぜひ一度、思考の整理や内省、目標への道筋の明確化などにご利用ください。